あおくんときいろちゃん
レオ・レオーニ さく 藤田 圭雄 訳 至光社
「私の一番好きな絵本」などでよく登場する絵本です。確かにかっこいいのですが、分厚いし、シンプルだし、はたして息子に受け入れられるのかと半信半疑でしたので、手にとって読むまでにとても時間がかり、息子がこの絵本に出会ったのは2才半の頃でした。読んだ後は、特別な興奮もなく、コメントもなかったのですが、とてもじっくりと集中して最後まで聞いていました。そして次の日、またこの絵本を読んでと持ってきたので、気に入ったんだなとその時にやっとわかりました。
登場人物である「あおくん」は、手で青色の紙をちぎっただけの青い丸。目などが描かれているわけでもないし、住んでいる家は紙の切れ端みたいな形。これでいいの?退屈じゃないのかしら?と大人としては思ってしまっていたけど、形があって、それに名前がついていて、それが喋ったら、それは、その子にとって親近感のわく生き物になるんだなあと再発見しました。考えてみれば、その辺にある鉛筆なんかを持って、「こんにちは」とおじぎさせるだけでうれしそうにしている2才半。そういった「子どもが感じるうれしさ」のようなものを大人はすぐ忘れてしまいがちです。表紙のシンプルさからは想像できないくらいたくさんのことを子どもに語りかけてくる、熱量のある絵本でした。