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りんごが ひとつ

りんごがひとつ

いわむら かずお 作 銀河社

 

丘の上で大好きなリンゴを食べようとした、なっちゃん。「ころんっ」とリンゴがころがりおちたので、あらたいへん。ころころころがるりんごを、ウサギが、リスが、クマがそろっておいかける、ほのぼのとした、リズム感抜群のお話です。

「14ひきのねずみシリーズ」のいわむらかずおさんが、女の子やウサギを描くと本当に愛らしいのです。くんくんとりんごをかぐクマの鼻先、りんごでふくらんだなっちゃんのほっぺた、甘いりんごに「にたぁ〜」ととろける動物たち・・・。56ページ全てじっくり眺めたい贅沢な絵本です。文章や話の展開にも子気味良いテンポがあるので、当時2才8ヶ月の息子も、動物たちが身体中で喜びを表す姿を、口をあんぐり開けたまま見つめていました。

そうやって夢中で絵本に引き込まれていく我が子の横顔をみるのも、親としての至福のひと時です。

 

 

最後に裏表紙に描かれたりんごの葉を見て、「はっぱ出たねえ」と呟いた息子。植物が種から芽をだし、実をつけ、成長していくことを、日々の生活や絵本を通して、少しずつ理解していっているようです。