キリンとアイスクリーム
牧野夏子 文 D[di:]絵 福音館書店
こどものとも年少版391号 2009年10月号
ぼくが こうえんの ブランコに こしかけて、
アイスクリームを なめていると、
キラキラとほそいいとが おりてきた。
みあげると、キリンがいっとう、
アイスクリームを じっと みおろして、
よだれをたらしていた。
「ぼく」が説明する形で最後まで物語が語られます。男の子が言葉を発するのは3回だけ。キリンは、キリンらしく何も語りません。口語体が多い方が絵本が賑やかになり、小さい子に向けた絵本らしい印象があるかもしれませんが、このような説明文のみで話が進む物語の方が、わかりやすく読みやすいなと声に出して読んでいると感じます。台詞がないので、抑揚を付けにくく、単調に聞こえがちなのですが、当時2才半の息子はじっと物語についてきていました。台詞がない方が話があっちこっちいかないし、今誰が話しているのかなどと迷うこともないから、小さい子にはいいのかもしれません。息子が本にじっと集中していたのは、そんな理由ではなく、物語の中の魅力的なキリンやアイスクリームに心奪われていたからかもしれないけれど・・・。あるいは、大きなキリンと男の子が小さな絵本の中に一緒に描かれている構図がおもしろくひきこまれていたのかもしれないけれど・・・。
言葉は一方向からでも、構図はぐるんぐるんと変化する、とても斬新な絵本です。