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やらないという選択

外に気軽に出歩けない状況の中、ネット販売を始めるお店が増えています。ネット販売に限らず、フットワークが軽く、新しい方向を模索し変化しているお店こそが、これからの世の中を生き残っていくのかもしれません。今までと同じやり方でお店を続けても、コロナ前と同じようなことを果たして求められるのか。人々の期待は別のところにあるのではないか。世の中が元に戻って、どこにでも出かけられるようになった時、買い物を今までと同じような形でしたいと思うのか。もし求めるものが変わっていたら、店は新しい展開を考えていかないといけないのでしょう。すべては迅速に。

ちぇすなっとはネット販売は始めていません。ネットは売れるよ、という声も聞きます。ネットは手間だけだよ、という声も聞きます。どちらにしろ、新しい手法を始めたお店は柔軟で輝いて見えます。これから生き残って行くのはそういう店なのかもしれないなと漠然と感じます。

 

ではなぜやらないのか。

 

そもそも、なぜネット販売を始めるのか。

そもそも、なぜお店を開いたのか。

そもそも、なぜ本とコーヒーなのか。

 

ネットサービス、電子決済、イベント実施、買い取り、モーニングの提供・・・

本屋兼カフェを開いて1年半ほど。沢山の「やらない」という選択をしてきました。「これにしよう」という決断がたくさんあることはわかっていましたが、「やらない」という決断をすることに、これほど頭をかかえるというのは想定外でした。やらないという決断が苦しいのは、それがお客さんから求められているものでもあると、お店を運営する中で少しずつわかってきたからです。

電子決済はとても便利です、でも踏み切れない様々な理由があります。小さな店でもイベントを実施するのは今や当たり前のことです。でもちぇすなっとではイベントは今のところ実施していません。そこにも様々な理由があります。

 

SNSでお店の内情やスタッフ自身を表現していくことと、お店の運営は切っても切れないものとなってきています。ただ、それが売り上げに直に反映しているかどうかは別のことだとも感じます。でも人が集まる波のようなものは一つの場所に極端に集中していて、SNSの存在に大きく左右されているようにも感じます。期間限定のイベントに溢れるほど集まる人の数は、ひと昔前はここまで溢れていただろうかという集中ぶりです。

 

「やらない理由」はとても難しい。「どうしてやらないの?」と聞かれると、とても後ろ向きの答えになってしまいます。でも「やらない」ということで守られるものは確実にあると思っています。

SNS、フリーペーパー発行、選書サービスはかろうじてやっている、カフェメニューも少し増えました。そこを最低限として、あとはお店そのもので地域の人たちの日常に潜むような存在になりたいと、密かに決意を改めている次第です。

 

今は特にきびしい状況ではあります。

やっていけるのか。

 

そもそもお店を始めた理由は、

日常から少し離れて、居心地のいい空間で、本を選んだり、コーヒーを飲んだりする場をつくりたい、ということでした。お客さんにオススメしたい本を選び続け、手に取りたくなるように並べ替え続けて、おいしいコーヒーとともに読んでもらい、非日常の時間を味わってもらう、そんな安定した空間づくりを極めていきたいと思っています。

 

こんな店ですが、やっていきます。

こんな店だから、来てくれる人がいると信じて。