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「一週間小言を言わない」宣言 〈前編〉

夫婦2人でお店を営んでいます。

閉店の30分前、どちらかが園まで息子を迎えに行き、そのまま夕飯を作り、お風呂に入れ、洗濯を済ませます。お迎えもお風呂も夕飯を食べるのも、疲れた息子をその気にさせるのは体力勝負で、いつもくたくたになって1日を終えます。

息子が3才になりお店をオープンした頃から、仕事の疲れと重なるように、難しい年頃になってきた息子に余裕をもって対応できないことが増えてきました。朝、園へと送り届け、夜眠るまでの時間は、何一つスムーズに進まず、私のいらだちが爆発することもありました。

「食べながら歩かないで」とか「もう寝る時間」とか「早く歯を磨いて」だとか、眉間に皺を寄せて1つ1つ指示を出すのがだんだんと当たり前になっていました。そんな負のスパイラルの中で、湧き上がってくるイライラを止めたいけれどどうにもならない。そんな時、何気なく読んだ雑誌の文章にぐらぐらと心を動かされたのです。

 

「暮らしの手帖2021年6-7月号」

子育ての悩み相談室 第12回

回答者 田中茂樹先生(医師、臨床心理士)

 

それは、「8才の息子のできないことに目がいってしまい、注意ばかりしていたら、どうせできないと諦めやすくなってしまった」という相談への回答としての文章でした。

 

田中先生はこう指摘しています。子どもだけが相談者さんの味方で、文句を言える相手なのではないかと。「もっとこうしなさい」という行動の指示の根底には「私が気に入るようなことをしてほしい」という甘えや期待があって、それを要求できるのが子どもだけなのではないかと。そしてその負のスパイラルから抜け出すきっかけとして、「一週間、子どもに小言を言わない」ということを提案しています。「早く寝なさい」などの指示を一切やめて、親はただニコニコと過ごす。それによって子どもが一週間何もしなかったとしても、そうたいしたことにはなりませんと。

 

以前ある家族がこの一週間を試してみて、口うるさく言わなくても何も変わらなかったということがあったそうです。行動の結果は変わらなかったとしても親がニコニコしていたことは家の中を明るくし、子どもは家を居心地よく感じていたかもしれません。田中先生は最後にこう付け加えています。

「家の居心地がよければ、子どもの心は回復していきます。親は子どものそのままを受け入れればいい。関心がないわけじゃなく、どうなっていくのかを楽しみにしている。子どもがどうなるかは、親には予想もつかないんですよ。」と。

 

この話を読んで、ならば私もと、A4の紙にマジックペンで「一週間小言を言わない」と書いた紙を壁に貼り、実践を始めて本日4日目です。つい口うるさく言いそうになった時は田中先生の言葉を思い出し、なんとか息子の行動に茶々をいれない日々を過ごしています。でも疲れている時などはニコニコと息子の負のオーラを受け取るのは難しく、あと3日を乗り切るために、ブログでも宣言しておきたいと思い、この文章を書きました。

 

負のループは、習慣をかえるだけでするりと抜け出せるかもしれないとこの4日間で感じています。一週間が経過してその後どうなったかをブログでも報告できるよう、まずは気持ちを引き締めて、口うるさい指示をしない日々を続けたいと思っています。